『老乞大』とは、漢語(中国語)、モンゴル語、満州語を学ぶ目的で、司訳院において伝統的に使用されてきた最も重要なテキストだ。このうち『蒙語老乞大』は1741年、1776年、1790年の計3回出版されている。
全六巻の『蒙語老乞大』木版本は、ソウル国立大学図書館の奎章閣(Kyujanggak)と日本の東洋文庫に所蔵されている。両者は多くの点において一致していることから、同一の版本と見なされ、3回に渡る出版のうち1790年に方考彦らによって再版されたもので、奎章閣に残されているのはその影印本だ。
この書物は、同じ時代に同じ人々によって著された『捷解蒙語』や『蒙語類解』と並び、朝鮮語で記されたものとして、モンゴル語研究のための非常に貴重な資料である(これらは併せて「蒙学三書」と呼ばれる)。
テキスト本文はモンゴル語で書かれており、脇にはハングルでモンゴル語の発音を添え、(その下には)2行ずつの朝鮮語の翻訳文が書かれている。概して『蒙語老乞大』のモンゴル語には、文語的要素と口語的要素が混在し、方言としては当時の北京と瀋陽に住むモンゴル人の話していたモンゴル語である。
<出典>
『国学資料第3輯 蒙語老乞大』西江大学校人文科学研究所, 1983.
(巻末解説の英語要約文より翻訳)
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