国内モンゴル語研究最前線(3)

2007年8月31日0 コメント

【白樺樹皮文書類の研究】

白樺樹皮文書類とは、モンゴル国のオブス県タワクチン・オラーンで1999年6月と、2000年9月に出土したもので、白樺の樹皮にモンゴル文字が書き綴られた文献の束および紙文書を指す。早稲田大学の吉田順一教授を所長とするモンゴル研究所は、発掘者のオチル教授と協定を締結し、共同研究を行っている。

日本のモンゴル研究所側では、2002年3月までに文献の保存処理を行った。2003年度からはモンゴル国側に写真カットを送り、それぞれで研究する体制を築き、本格的に研究を開始した。現在では、全文書のローマ字転写が完了しており、一件の冊子体文書については早稲田大学モンゴル研究所『紀要』創刊号に掲載された。

これらの白樺樹皮文書は、17~18世紀頃のもので、宗教関係の内容のものが多く、当時モンゴル国西部にも白樺樹皮を使った文字文化が存在したことなどを明らかにした点で意義深い。

なお、現在ではモンゴル研究所の研究プロジェクトから外されているが、日本側研究代表者は井上治教授が務めており、白樺樹皮文書は2005年にモンゴル国側に返還されている。

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