モンゴル語の各種文字概要

2006年1月16日0 コメント

【モンゴル文字】 伝統的なモンゴル文字。内蒙古で主に使われている。モンゴル国でも1990年代後半から学校教育に採り入れられた。ウイグル式モンゴル文字、またはキリル文字と対比して旧文字とも呼ばれる。ウイグル文字経由でソグド文字がモンゴルに伝わったとする説と、ソグドから直接伝わったとする説がある。モンゴル文字は表音文字で、左から右の縦書き。

【キリル文字】 モンゴル文字と対比して新文字とも呼ばれる。1940年代以降、現在でもモンゴル国で広く使われている。キリル文字にモンゴル語特有の母音を表わす2文字を加えたもの。モンゴル国では民主化以降、モンゴル文字復興運動も起こったが、いまだキリル文字が中心的な役割を果たしている。

【ガリグ文字】 モンゴル文字表記の際に、外来語の音写に用いられる。1587年にハルチンのアヨーシ・グーシがサンスクリット語やチベット語の音写に合わせて、モンゴル文字に新字体を加えて作った改良文字。

【トド文字】 モンゴル文字をもとにした、オイラド方言の表記に適した文字。円唇母音やk,gを表わす新字体、長母音を表わす記号などを加えて、モンゴル文字では区別が不明瞭だった音の違いを表記し分けるため、トド(明瞭な)文字と呼ばれる。ザヤ・パンディタによって1648年に作られた。

【ワギンダラ文字】 モンゴル文字をもとにしたブリアート方言の表記に適した文字。語頭・語中・語末の区別がない。ロシア語の表記にも適している。アグワーンドルジによって1905年に作られた。

【パクパ文字】 パスパ文字、方形文字とも呼ばれる。チベット人僧パクパが1269年、フビライ・ハーンの命令でチベット文字をもとに作ったモンゴル語表記用の文字。1世紀にわたって公文書などに使用されたが、一般には流布しなかった。

【ソヨンボ文字】 仏教経典・印章などに用いられた。モンゴル初の活仏ザナバザルによって1686年、ネパールの装飾文字のランツァ文字をもとに作られた。

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