ラスール朝の6ヶ国語辞典

2006年1月12日0 コメント

The King's Dictionary: The Rasulid Hexaglot:

14世紀に成立した、アラビア語-ペルシャ語-トルコ語-ギリシャ語-アルメニア語-モンゴル語の辞書。6言語ともすべてアラビア文字で記されている。収録語彙は7,300語。イエメンのラスール朝(1229~1454)の時代に国王のアル・マリク=アル・アフダル=アル・アッバース(Al-Malik al-Afdal al-Abbas: 在位1363~1377)によって編纂された。単語はカテゴリー別に配置されている。

この辞書は最初、レバノン学者のMahmud al-Ghulによって、コロンビア大学のトルコ学者Tibor Halasi-Kunのもとにマイクロフィルムのコピーがもたらされ、西洋の言語学者および歴史学者たちに注目されるようになった。1974年以降、4人の学者(Tibor Halasi-Kun, Peter B. Golden, Louis Ligeti, Edmund Schutz)からなるチームが翻訳作業に着手し、ついに2000年の6月にBrill社から出版された。モンゴル語訳の部分はリゲティ(Louis Ligeti ~1987)が担当した。翻訳作業を進めるうちに、写本を書き写す際に誤写された可能性のある単語が少なからず見つかったという。これはアラビア文字が点の位置のみで発音を区別するという特徴にも起因している。

○ Peter B. Golden, et al., "The King's Dictionary: The Rasulid Hexaglot: Fourteenth Century Vocabularies in Arabic, Persian, Turkic, Greek, Armenian and Mongol (Handbook of Oriental Studies / Handbuch Der Orientalistik, section 8: Central Asia, vol. 4), Leiden: BRILL, 2000.
○ Robert Dankoff, "The King's Dictionary: The Rasulid Hexaglot: Fourteenth Century Vocabularies in Arabic, Persian, Turkic, Greek, Armenian and Mongol.(Review) : An article ... The Journal of the American Oriental Society [HTML]", American Oriental Society, 2001. (上記書籍の電子ブック版)

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