韓国で出版された『奎章閣資料叢書 語學編(八) 蒙語類解 捷解蒙語』(ソウル大学校奎章閣韓國學研究所, 2006)という影印本を入手した。これで『蒙語老乞大』、『捷解蒙語』、『蒙語類解』のいわゆる「蒙学三書」が揃ったことになる。なお、『蒙語老乞大』については、すでに『國學資料第3輯 蒙語老乞大』(西江大学校人文科学研究所, 1983)という同じく韓国で出版された影印本を入手済みである。 これらは、ハングルで記されたモンゴル語の教科書および辞書である。
蒙学三書の研究状況であるが、現在最も盛んに研究を行っているのはおそらく松岡雄太氏(九州大学)であろう。氏は日本モンゴル学会、韓国の国語学会においても活発に研究発表を行っている。
過去には、小沢重男「中・韓・蒙・対訳語彙集 「蒙語類解」 の研究 (1) : 朝鮮語と蒙古語との若干の音韵対応にもふれて」, 『東京外国語大学論集』(1961)といった優れた論文が発表されている。同論文は主に、『蒙語類解』中のすべての語(漢語を見出し語とする)について、モンゴル語部分にローマ字転写をほどこし、それに対応する現代モンゴル語、モンゴル語文語、日本語訳を記したものである。
『蒙語老乞大』の研究としては、島根県立大学の井上治教授が金度亨氏と共同で、「蒙語老乞大 テキストのローマ字転写と和訳」という論文を『中國語學研究 開篇』に発表している。論文は2002年以来、各巻の転写ごとに毎年1本のペースで発表されている。
この他にも、竹内弘行「蒙学三書について」, 『名古屋学院大学外国語学部論集』(1995)という論文があるようだ。まだ確認していないが、こちらはひょっとすると啓蒙の「蒙」かもしれない。
コメントを投稿