モンゴル語木版本

2009年5月20日0 コメント

東京外国語大学付属図書館には、貴重なモンゴル語の木版本のコレクションが収められている。これらの一部は、同図書館で2003年に行われた特別展示のパンフレットから伺い知ることができる。

http://www.tufs.ac.jp/common/library/guide/shokai/tenji4.pdf

以下の説明は、東京外国語大学付属図書館報『Castalia』第6号に掲載の二木 博史「木版文化の世界」からの抜粋である。

東アジアでは、金属活字を用いた印刷技術が普及する前の時代には、木版印刷が重要な役割をはたしていた。モンゴル語の印刷物の場合も、元朝以来の数百年にわたる木版の時代の後、短い石版印刷の時期を経て、20世紀の10年代から活版印刷が主流になった。

モンゴル語の木版印刷の代表的なものは、北京版とよばれる、おもに清代に北京で出版された書物である。東京外国語大学附属図書館には、約20点のモンゴル語の北京版が所蔵されてきた。ジャンルからみると、対訳語彙集と仏典が大部分である。これらは、1910年代から1940年代の時期に、当時の教官等によって北京で購入されたものと推定される。

さらに、現在進行中のCOEプログラム「史資料ハブ地域文化研究拠点」の予算により、モンゴル語の北京木版本を6点購入した。ロシア帝国時代、シベリアで刊行されたブリヤート版など、計11点の木版本も併せて購入したので、本学図書館のモンゴル語の木版本のコレクションは、40点ちかくになった。この所蔵数は世界に誇れるものである。

<出典>
二木 博史, 「木版文化の世界――北京版モンゴル語文献を中心に――」, 『Castalia = 知の泉(東京外国語大学附属図書館報)インターネット版第3号』, 2003.
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