国内モンゴル語研究最前線(4)

2009年4月30日0 コメント

【ハラホト文書】

ハラホト文書とは、1983・1984年に中国内モンゴル文物考古研究所・アラシャン盟文物考古站によって、内モンゴル自治区の遺蹟であるハラホト(黒水城)において発見された元朝期の文書である。

2001年11月に、早稲田大学の事業推進担当者が内モンゴル大学の研究者と共同研究することを目的とし、同大学のチメドドルジ教授と協定を結び、本格的な研究に着手している。

ハラホト文書の総文書数は3000点とされる。今回の共同研究で研究対象とされたのは209点で、そのうちモンゴル文書は154点である。ウイグル式モンゴル文字文書70点とパクパ文字文書15点の計85点はすでに解読済みである。解読不能な文書は断片的に過ぎるものが多いという。

協定の関係で、これ以上の研究の詳細については言及を控えるが、できれば2007年度中には文書のカラー写真を付した報告書を刊行する予定だと、早稲田大学モンゴル研究所の吉田順一教授は語っている。

<追記>
すでに2008年3月には、吉田 順一 編『ハラホト出土モンゴル文書の研究』(雄山閣)が出版されている。
「1983・84年、内モンゴル自治区ハラホト(黒城)の官庁址から大量に発見された元朝期の文書のうち、漢文文書と西夏文文書以外のすべての文書(228点)を全点影印掲載、うち135点を解読し、それぞれにローマナイズ、訳、注釈、解説を施し、さらにモンゴル文書には漢語注釈も付した。多民族・多言語・多元社会というモンゴル帝国・元朝の様相がそのまま凝縮されていた当時のハラホトの状況が伺われる重要資料の基礎的研究を提示する」(雄山閣による内容紹介文)
ハラホト出土モンゴル文書の研究ハラホト出土モンゴル文書の研究
(2008/03)
吉田 順一、

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