明治時代のモンゴル語教科書

2007年8月27日1コメント

早稲田大学図書館の蔵書のうち、明治時代以前のものはマイクロフィッシュ化されており、オリジナルを損傷しないで済むよう、通常の閲覧はこのマイクロフィッシュが用いられている。

去年の秋頃、何か面白い資料はないかと漁っていたところ、明治時代に出版されたモンゴル語の教科書を見つけた。ひとつは三巻本のモンゴル語読本で、奥付を見ると明治四十年発行となっている。もうひとつは日本語・中国語・モンゴル語対照の会話集で、日本の参謀本部による「諸言」が付されており、明治四十三年とある。いずれも縦書きの蒙古文字で書かれたものだ。

読本の方は「喀喇沁王府」とあって、会話集の方は「東部蒙古科爾心博王府ニ聘セラレ其ノ旗学堂教習ノ任ニ在ル数年頃目斯書ヲ編シ」とあるので、それぞれ当時の東部モンゴル(現在は中国内モンゴル東北地方)に分布するハルチン方言とホルチン方言を反映したものと考えられる。特に、会話集の方は蒙古文字の右脇にカタカナでルビが振られており、当時のホルチン方言の発音を推測する上での参考にもなる。

いずれにしてもこれらは、清朝末期のモンゴル語の概要を知るための資料として、非常に貴重なものであることは間違いない。マイクロフィッシュ化された資料は申請すれば有料でコピーさせてもらえるため、やや割高だが一部をコピーして持ち帰った(うろ覚えだが、たしか一枚につき50円)。

著作権などの関係で、一度にコピーできるのは、一冊につきマイクロフィッシュに撮影された全コマ数(裏表紙などの文字の書かれていないコマなども含む)の半分以内に限られるそうだ。果たして、同一人物が別の日に訪れて残りの半分をコピーしても違法なのか、あるいは誰か別の人としめし合わせて、各人が半分ずつコピーしたらどうかしらなどと、ついくだらないことを考えてしまった。

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nahiya
2007/09/20 19:22:00

お伺いです。この教科書の所蔵地は早稲田大学の図書館ですが、それを検索する方法を教えて頂けませんか。

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