モンゴル国および中国内蒙古自治区では、現在公式には西洋暦が採用されているが、伝統的な暦法(太陽太陰暦)も存在する。モンゴル民族の伝統であるツァガーン・サルと呼ばれる行事は、この旧暦の元旦を祝うものだ。このツァガーン・サルを祝う日にちは、モンゴル国ではチベット仏教に由来する暦法に基づいて決められているのに対し、内蒙古では漢民族の旧暦(農暦)の元旦に相当する春節の時期に合わせるのが普通だ。
モンゴルの暦法では、伝統的には五行思想に基づいた十干十二支が用いられていた。五行には木火土金水と青赤黄白黒といった二通りの表し方がある。
木火土金水を意味するモド、ガル、ショロー、トゥムル、オスは、日本の「木の兄(甲)」「木の弟(乙)」「火の兄(丙)」「火の弟(丁)」などのように兄・弟の区別はなく、「モド(木)」「モド(木)」「ガル(火)」「ガル(火)」・・・のように2年ずつ同じ行が続き、10年で一回りする。一方、青赤黄白黒を意味するホホ、ウラーン、シャル、ツァガーン、ハルには陰陽(男女)の区別があり、「ホホ(青陽)」「ホホクチン(青陰)」「ウラーン(赤陽)」「ウラークチン(赤陰)」・・・と続き、同様に10年で一回りする。
さらにこれにおなじみの十二支を表す動物名を組み合わせ、10と12の最小公倍数である60年で暦が一回りする。
ちなみに、チンギス・ハーンの生年については諸説あるが、『ホホ・ソダル(青史演義)』の作者インジャンナシはハル・モリン・ジル(黒陽午年)、すなわち1162年生まれとする立場をとっている。
モンゴルで月名を表す伝統的な方法として、春夏秋冬を用いるものがある。それぞれの季節ごとに初中末の区別を設け、春の初、春の中、春の末、夏の初、夏の中、夏の末・・・のように表すもので、4×3で12ヶ月となる。
それ以外にも、十干十二支を用いて月日を表す方法がある。月名は十二支によって、日付は十干十二支によって表される。
以下に季節を用いた月名と十二支を用いた月名の対応を記す。なお、これらの表し方は現在では占いなどの限られた場面で使われるのみで、モンゴルでは日常的には数字によって年月日が表されている。
春初=寅月=1月
春中=兎月=2月
春末=辰月=3月
夏初=巳月=4月
夏中=午月=5月
夏末=未月=6月
秋初=申月=7月
秋中=酉月=8月
秋末=戌月=9月
冬初=猪月=10月
冬中=子月=11月
冬末=丑月=12月
モンゴルの伝統文化には、仏教の伝来と共にチベットからもたらされたものが数多くあるが、暦法についても少なからずチベットの影響を受けている。モンゴル暦の十二支の暦元は西暦1027年とされ、チベット暦の暦元と一致している。
(出典:http://hosi.org/a/when/questions.pdf)
元の時代には、フビライの側近であった中国人学者郭守敬によって「授時暦」と呼ばれる暦法が作られた。この暦は一年を365.2425日とする太陽太陰暦である。
曜日の名称には、チベット語起源のものとサンスクリット語起源のもの、数字を用いるものがある。さらに数字を用いるものはモンゴル国と内蒙古とでは多少異なるので、モンゴル語の曜日の表し方には計4種類が存在する。以下にモンゴル語の曜日の対応表を示した。
月曜日 Даваа/ Сумьяа/ 1 дэхи eдeр/ Гарагийн нэгэн
火曜日 Мягмар/ Ангараг/ 2 дахь eдeр/ Гарагийн хоёр
水曜日 Лхагва/ Буд/ 3 дахь eдeр/ Гарагийн гурав
木曜日 Пvрэв/ Бархасбадь/ 4 дахь eдeр/ Гарагийн дeрeв
金曜日 Баасан/ Сугар(Шvгэр)/ 5 дахь eдeр/ Гарагийн тав
土曜日 Бимба/ Санчир/ Хагас сайн eдeр/ Гарагийн зургаа
日曜日 Ням/ Адьяа/ Бvтэн сайн eдeр/ Гарагийн eдeр
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