近代のモンゴル語で書かれた小説『ホホ・ソダル』には、中国語訳されたものが存在する。中国語名による題名は『大元盛世青史演義』または略して単に『青史演義』といい、1985年に中国内蒙古自治区で出版されている。
ホホ・ソダルにはチンギス・ハーン当時の隣国であった金や西夏や宋などについて、政治状況に至るまで史実に基づいてかなり詳しく描かれており、漢字で表記すべき固有名詞も少なくない。このため、翻訳作業を進めていく上で中国語訳が利用できれば大変ありがたい。
ネット上で探したところ、国立国会図書館の関西分館と大阪外国語大学の図書館に『青史演義』が所蔵されていることが分かった。そこで、近所の区立図書館経由での予約貸出しの手続きをすることにした。これはいわば図書館(貸出元)が図書館(貸出先)に借出し申し込みをするというもので、わざわざ遠方に赴かなくても区立図書館に出かけていくだけで本を閲覧することができる。
もし貸出元が利用者への貸出しを許可している図書館ならば、取り寄せた本を借出すこともできるようだが、あいにく国立国会図書館の図書はすべて閲覧のみで貸出し不可であり、貸出先の図書館内で本をコピーすることすらも許可されていない。一方の大学図書館だが、区立図書館の図書館員の話だと、通常は申し込みをしても貸してもらえないことが多いそうで、学外への借り出しはなかなか難しいようだ。とりあえず他の図書館も当たってみてくれるとの親切な応対であったが、中国語の書籍でもあるし、そう簡単には見つからないのではないかと思う。
自分で購入はできないかと、東京にある中国語書籍の専門店をいくつか当たってみたが、一昔前に出版されたものなので入手困難とのことだ。それならばいっそ現地人のコネを頼って、内蒙古から取り寄せるという方法もありそうだが、いろいろ複雑な人間関係のしがらみがありそうで気が重い。
結局、国立国会図書館の蔵書を関西から取り寄せてもらって、区立図書館に『青史演義』が置かれることになる1ヶ月の間、毎日PC持参で通って参考にしながら『ホホ・ソダル』の翻訳を続けるという方法をとることになりそうだ。幸い、予約貸出しの申し込みをした区立図書館は、自宅から自転車でほんの2~3分の距離にある。
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