国内モンゴル語研究最前線(2)

2007年6月30日0 コメント

【オロンスム文書】

2006年12月2日、横浜ユーラシア文化館の主催で「オロンスム文書」のシンポジウムが開催された。
http://www.eurasia.city.yokohama.jp/event/061202/program.html

オロンスムとは、中国内モンゴル自治区にある遺蹟で、元朝時代に有力だったオングト族の本拠地だった。16世紀にはアルタン・ハーン(1507~1581) により、チベット仏教が導入され、多くの仏教寺院が建てられている。オロンスム出土モンゴル語文書は、そうした16~17世紀の資料である。

横浜ユーラシア文化館は、1998年よりオロンスム出土資料の研究を行っており、2004年より館外の研究者の協力を得て、オロンスム出土モンゴル語文書の研究を開始した。まず、モンゴル語テキストのローマ字化から着手し、赤外線投射を行って保存状態の悪い文書の解読を試みた。併せて、東京大学総合研究博物館所蔵オロンスム出土文書の調査も行っている。

今後はオロンスム文書のホームページでの公開が予定されており、2007年度にはデータベースとして公開されるという。(追記参照↓)

オロンスム出土モンゴル語文書の研究意義について、モンゴル語の出土文献・文書の中ではもっとも東(モンゴル高原中南部)の遺蹟から発見されたものであり、主に17世紀のモンゴル人と寺院の関わり、モンゴル人の生活に由来する精神世界を窺い知ることができると、研究協力者の一人、井上治氏はシンポジウムの席で語っている。

<追記>
現在すでに、横浜ユーラシア文化館のホームページにおいて「オロンスム文書データベース」が公開されている。下記のページのオロンスム文書データベースと書かれた文字をクリックすると、各文書の画像データを閲覧することができる。
http://www.eurasia.city.yokohama.jp/olonsume/index.html
各画像には、同館における収蔵番号に加えて、ワルター・ハイシッヒの著作(Heissig1976)での掲載ページが記されている。多くの画像にはローマ字転写された電子化テキストが附され、同データベースのトップページからそれらの全文検索も可能だ。例えば、モンゴル語で「仏」を意味する"burqan"という単語を入力して検索すると、その単語を含む電子テキストと、それに対応する画像の収蔵番号、行番号の一覧が表示される。
この記事が気に入ったら...

コメントを投稿